立川市において、以下の道路が非常に混雑する問題がある。この混雑の要因を分析することが目的である。
- Open Street Map から取得した立川市自動車道路ネットワーク(自動車が走行可能な道路を含み、歩道、自転車道などは含まない)
source
からtarget
への向きをもつ edge が定義されたDigraph
- 2 つの node 間に 2 つの edge を持つ場合がある
MultiDigraph
{
y: 緯度,
x: 経度,
highway: {
traffic signals: 信号機,
crossing: 横断歩道
},
street_count: 交差点が繋がる道路の数
}
{
osmid: Open Street Map 上の道路 ID,
name: 道路の名前,
highway: {
primary: 大きな街を結ぶ道路,
secondary: 町を結ぶ道路(primaryの次に重要),
tertiary: 小さい町や村を結ぶ道路(secondaryの次に重要),
unclassified: 村や村落を結ぶ道路(最も重要度の低い道路),
residential: 住宅沿いの道路,
},
oneway: 一方通行かどうか(True/False),
length: 道路の長さ,
lanes: 車線の数,
maxspeed: 最高時速,
}
直径:ネットワーク内で最も遠いノード間の距離. ノード間の最短距離の中で最も大きい値
- 道路ネットワークの可視化 (ノード:交差点)
- ネットワークの基本特徴量を算出
- 中心性指標に基づいてグラデーションで色付けしプロット
- ノード数
- エッジ数
- 次数のヒストグラム
- 次数分布
- 平均次数
- 平均ノード間距離(道路の長さが距離)
- ネットワークの直径(shortest path length の中で最大のもの)
- エッジ密度
- クラスター係数
- 平均クラスター係数
- 次数中心性
- 固有値中心性
- 媒介中心性
- 近接中心性
- ページランク
名前 | 値 |
---|---|
有向グラフ | True |
ノード数 | 4106 |
エッジ数 | 10515 |
平均次数 | 5.12 |
平均経路長 | 4044.685 |
直径 | 10418.409 |
密度 | 0.000624 |
平均クラスター係数 | 0.00188 |
スタージェスの公式に基づいて中心性の値の階級数を決め、値が高いものからclass 1
として濃い色でプロットした.
- Open Street Map から取得した道路ネットワーク(自動車が走行可能な道路を含み、歩道、自転車道などは含まない)
- 以下の範囲内の道路を box として取得
- 北緯:35.71
- 南緯:35.655
- 西経:139.33
- 東経:139.55
- 道路ネットワークの可視化 (ノード:交差点)
- ネットワークの基本特徴量を算出
- 中心性指標に基づいてグラデーションで色付けしプロット
- 緯度 35.665 以南の交差点から目的地までの最短経路を算出
- 最短経路に含まれている回数が多い道路ほど濃い色でプロット
- 緯度 35.665 以南の交差点から目的地までの最短時間経路を算出
- 最短時間経路に含まれている回数が多い道路ほど濃い色でプロット
- ランダムに選択した 6000 のノードから目的地までの最短時間経路をプロット
- 新しい道路を 2 つ設置し、それぞれの場合の最短時間経路の変化を確認
- 新しい道路の設置後の最短時間経路を分析
- ノード数
- エッジ数
- 次数のヒストグラム
- 次数分布
- 平均次数
- エッジ密度
- 入次数中心性
- 出次数中心性
- 固有値中心性
※ 媒介中心性・近接中心性・ページランクは計算実行時間の制約(計算に約 21 年かかる)のため計算していない。
名前 | 値 |
---|---|
有向グラフ | True |
ノード数 | 35235 |
エッジ数 | 95164 |
平均次数 | 2.849 |
密度 | 7.665e-05 |
緯度 35.665 以南の 6774 個の交差点から昭和記念公園立川口への最短経路を導出し、より多く使われている道路を濃い色でプロットした。図の凡例は使われた回数を意味している。
重みを(交差点から交差点をつなぐ)道路の長さとして、ダイクストラ法を用いて重み(距離)が最小となる経路をあるノードから目的地への最短経路としてプロットした。
道路が使われた回数に基づく配色はスタージェスの公式を用いて決定した。具体的には、k を階級数、N を道路の使用回数のパターン数(使用された回数が 1,3,5,10 ならばパターン数は 4)として以下のように計算する。
k = 1 + round(log_2 N)
求められた階級数を用いて階級の幅 w を
w = ceil(max{道路の使用回数} / k)
として計算し、それぞれの階級に基づいて道路の色を決定した。
緯度 35.665 以南の 6774 個の交差点から昭和記念公園立川口への最短時間経路を導出し、より多く使われている道路を濃い色でプロットした。図の凡例は使われた回数を意味している。
各道路を通過するのに要する時間は
所要時間(h) = 道路の長さ(m) / (法定速度(km/h) * 1000)
で計算し、これを各道路(エッジ)の重みとした。ダイクストラ法を用いて重み(所要時間)が最小となる経路をあるノードから目的地への最短時間経路としてプロットした。
結果
結果
→ 新しい道路を設置しても最短時間経路は変化なし
全体の最短時間経路/新しい道路 1 を通った上での最短時間経路/新しい道路 2 を通った上での最短時間経路
経路名 | 経路の長さ(m) | 所要時間(h) | 平均時速(km/h) |
---|---|---|---|
最短時間経路 | 1984.18 | 0.06172 | 32.148 |
新しい道路 1 を通る経路 | 1838.744 | 0.06721 | 27.358 |
新しい道路 2 を通る経路 | 1907.462 | 0.06384 | 29.879 |
-
新しい道路 2 を通った上での最短時間経路と全体の最短時間経路はほとんど重なっている
-
また、新しい道路 2 は 50km/h なので所要時間が下回ってもおかしくない
-> 新しい道路 2 への分岐点から新しい道路 2 の開始地点までの法定速度 20km/h 道路がネックとなっている
この道路は立川ウインズ通りという名称で、調べた結果実際の法定速度は40km/h
この道路の法定速度を 40km/h にする
結果
経路名 | 経路の長さ(m) | 所要時間(h) | 平均時速(km/h) |
---|---|---|---|
最短時間経路 | 1984.18 | 0.06172 | 32.148 |
新しい道路 1 を通る経路 | 1838.744 | 0.06721 | 27.358 |
新しい道路 2 を通る経路 | 1907.462 | 0.0578 | 33.001 |
新しい道路 2 の設置により最短時間経路が変化した
- 渋滞が頻発する道路は南から昭和記念公園へ来る場合の最短時間経路となっているため、集中する
- 例として新しい道路 2 の設置によって最短時間経路が変化することから、効率的な配置から渋滞を分散させることができる可能性がある
- 法定速度がデータとして有していないエッジは主要な道路ではないと仮定して一律 20km/h とした
- その結果として新しい道路 2 を設置した際の立川ウインズ通りのような、実際の法定速度とは異なる道路ネットワークが作成され、結果に影響を与えた
- より正確性の高いデータを有した道路ネットワークの作成が求められる